アルコール依存症とは
アルコール依存症とは
アルコール依存症は、多量の飲酒を続けることで脳に障害が起き、自分の意思ではお酒の飲み方(飲む量、飲む時間、飲む状況)をコントロールできなくなる病気です。
はじめのうちは、快楽を得るために飲酒しますが(正の強化)、次第にイライラや抑うつ、不眠といった不快が強くなり、不快を避けるために飲酒を続けるようになります。やがて飲みたいという欲求が抑えられず、他の事より飲酒を優先したり、飲酒量が増えることで心身に影響をきたします。
- Koob, G. F. Front. Psychiatry. 2013;4:72.
日本人口のおよそ100人に1人が当てはまるアルコール依存症
2013年に行われた全国調査によると、生涯アルコール依存症を経験した方は約107万人と推計されています1)。これは、日本人口のおよそ100人に1人が当てはまると考えられ、飲酒する方にとって、アルコール依存症は身近な病気と言えます。
近年、仕事や家庭をもち普通に生活している方の中にアルコール依存症の問題が潜んでいることが指摘されています。
若い男性・女性や高齢者のアルコール依存症患者さんが増えています。
アルコール依存症の進行ステージが気になる方
アルコール依存症は自分では気づかないうちに進行していく病です。まずは進行ステージを確認しましょう。
アルコール依存症になりやすい人の特徴
女性
女性は男性に比べてアルコールの分解速度が遅いため、お酒に弱くアルコール依存症になりやすい傾向があります。
高齢者
高齢者は若年者に比べて少量の飲酒でも血中アルコール濃度が上昇しやすいだけでなく、中枢神経も影響を受けやすいため、アルコール依存症になりやすい傾向があります。
20歳未満
20歳未満は成人に比べてアルコールの分解速度が遅く、体内にアルコールが長時間残るため心身に悪影響を及ぼしやすいことが知られています。飲酒開始年齢が早いほど、成人になってから大量飲酒やアルコール依存症になりやすくなる可能性があります
飲酒後、顔が赤くなりにくい方(アルコールの分解酵素が低活性型)
日本人の7%は、アルコールの分解速度が遅い酵素(低活性型)を持っているとされています。アルコール依存症患者さん全体のうち約30%がこの低活性型を持つタイプであり2)、このタイプは飲酒により顔が赤くなりにくく、お酒は飲めるが翌日までアルコールが残りやすいとされています。
文献
- 1)Osaki, Y. et al. : Alcohol Alcohol.2016; 51(4):465-467.
- 2)横山顕. : Prog. Med. 2013;33(4):915-919.