飲酒により引き起こされる病気
がん
アルコールやアルコールが体内で分解されてできるアセトアルデヒドは発がん性があり、この分解酵素の働きが弱い人が多量飲酒すると口腔、咽頭、食道の発がんリスクが高まります。日本人ではアセトアルデヒドの分解酵素が欠損している方が約10%、弱い方が30%強と報告されています1)。また、大腸がんは飲酒との関連が明らかであり多量飲酒により発症リスクが高まります。肝臓がんの主な原因はウイルス感染ですが、多量飲酒もその原因の1つとされています。さらに、乳がんは日本の研究において閉経前と閉経後の女性において飲酒量の増加により発がんリスクが高まることが報告されています2,3)。
また、糖尿病の方や喫煙する方は、飲酒によるがんの発症リスクがさらに高くなるので特に注意が必要です。
なお、飲酒量を1日2合(純アルコールとして約40g/日)未満に抑えることができれば、男性全体の12.5%はがんの発症を防げる可能性があることが報告されています(下図)2)。
飲酒量とがんの発症リスクとの関係
- 対象
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日本において9~12年間追跡調査できた40~59歳の男性35,000人
- 方法
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飲酒量とがんの発症リスクについて検討した
- 津金昌一郎. : アンチ・エイジング医学-日本抗加齢医学会雑誌., 4(4), 450-456, 2008より改変
文献
- 1)横山顕 : Prog. Med. 2014; 33(4): 95-919.
- 2)Nitta, J. et al.:Asian Pac. J. Cancer Prev. 2016:17(3);1437-144.
- 3)Iwase,M. et al.:Int. J. Cancer. 2021;148(11):2736-2747.
- 4)津金昌一郎 : アンチ・エイジング医学-日本抗加齢医学会雑誌.2008; 4(4): 450-456.