監修:筑波大学 健幸ライフスタイル開発研究センター長 筑波大学医学医療系 地域総合診療医学 准教授 吉本尚先生

飲酒により引き起こされる病気

高血圧

アルコールに強い方、弱い方にかかわらず、習慣的に飲酒量が増えると血圧が高くなる傾向があります。そのメカニズムについてはまだよく分かっていませんが、神経を介した作用(交感神経の亢進)や内分泌系を介した作用(コルチゾールやカテコラミン濃度の上昇、レニン・アンジオテンシン系の活性化)、電解質異常(血管平滑筋細胞内カルシウム濃度の上昇、マグネシウム濃度の低下)が報告されています。

飲酒が原因で血圧が高くなっている方は、飲酒量を減らすとその量に応じて血圧が低下することが知られています。

下図は、飲酒をする高血圧の患者さんを対象に飲酒量を減らしたときの血圧に及ぼす影響を観察した研究の結果です1)。この研究では、前半6週間に飲酒量を減らして、後半6週間は普段通りに飲酒した方(A群)と、前半6週間は普段通りに飲酒して、後半6週間に飲酒量を減らした方(B群)の血圧の推移を観察しました。その結果、A群、B群ともに飲酒量を減らした1~2週間後、血圧が低下することが認められました。

減酒による血圧の低下

6ヵ月間降圧薬で治療中の25-65歳の男性高血圧患者を対象に、2週間で週にアルコールを472ml導入した後、2群に分け6週間ごとに飲酒量低減(週にアルコールを64ml導入)と通常飲酒(週にアルコールを452ml導入)を入れ替えた結果、試験期間中における降圧薬の服用は継続し、飲酒量低減期と通常飲酒期で服薬アドヒアランスに差はなかった。
対象

飲酒習慣があり(純アルコール量≧210mL/週)、少なくとも6ヵ月間降圧薬で治療中の25-65歳の男性高血圧患者44例

方法

クロスオーバー無作為化比較試験。2週間の導入期の後、2群(A群、B群)に分け6週間ごとに飲酒量低減と通常飲酒を入れ替え、血圧の変化を検討した。試験期間中における降圧薬の服用は継続し、飲酒量低減期と通常飲酒期で服薬アドヒアランスに差はなかった。

高血圧の発症リスクは飲酒量に応じてほぼ直線的に増加することが知られています。また、高血圧は日本人の脳梗塞や冠動脈疾患といった循環器疾患の重要な危険因子の1つであることなどから、血圧が高く習慣的に飲酒をする方は、まずは飲酒習慣を見直してみましょう。

文献

  • 1)Puddey IB et al.: Lancet. 1987; 329(8534):647-651.

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