アルコール依存症の治療にいたるケースを見てみよう

飲酒のトラブルに悩むBさん家族の場合

トラブルの後始末

「すみません、ご迷惑をおかけしてしまって……」

趣味のサークルの食事会で飲みすぎてしまったBさんを迎えに、旦那さんがあわてて店にやってきました。サークルのメンバーや店の人に申し訳なさそうに頭を下げますが、当のBさんはすっかり泥酔状態です。

「最近のBさん、飲み方が心配です」とサークルの友人。
「さっきもワイングラスを落としてしまって」

床には割れたガラスの破片が散らばっていました。

「本当に申し訳ありません。割れたグラス、弁償します」

旦那さんは財布を出して支払いを済ませ、Bさんを抱きかかえて店を出ました。

世話をやきすぎたツケ

Bさんをベッドに寝かせてから、旦那さんは高校生の娘と二人、リビングのテーブルで向かい合っています。

「心配するな、お母さんのことは、これからもお父さんがサポートするから」

しかし娘は小さく首を振り、「それがダメなんじゃないかな?」
「このあいだテレビでアルコール依存症の番組をやってたの。もしお母さんがそうなんだとしたら、周りの人が世話をやきすぎることで、逆にお酒を飲める状況にしてしまうんだって」

旦那さんははっとして、これまで良かれと思いBさんのトラブルの後始末をしてきた自分の行動を思い返します。

「ねえ、お父さん、お母さんがしらふのときにちゃんと話してみようよ」

家族会議での話し合い

次の土曜日。また隠れて冷蔵庫のお酒を飲もうとしていたBさんの肩に、それを制する力のこもった手が置かれます。そして三人の家族会議は始まりました。

「私とお父さんは、もうお母さんがお酒で失敗しても、絶対に助けないことに決めました」

娘の毅然とした態度にとまどうBさん。旦那さんが続けます。

「自分の問題にきちんと向き合うべきときだ。もしかしたら、アルコール依存症という病気かもしれない。勇気を出して、一度受診してみないか」

二人の真剣さに打たれ、Bさんは顔を伏せたまま何も言うことができません。しばらくの沈黙のあと、

「ごめんね……ありがとう……」

Bさんは顔を上げ、静かに微笑むのでした。

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