アルコール依存症と向き合う

アルコール依存症について
知りたい方へ

日本人口のおよそ100人に1人はアルコール依存症を生涯経験すると言われています。アルコール依存症は、習慣的に飲酒をする方であればどなたでもなりえる身近な病気です。

習慣的な多量飲酒が原因でお酒により脳がハイジャックされた状態です。そのため、自分の意思ではお酒の飲み方をコントロールできなくなります。本人の意志の弱さやだらしなさが原因ではありません。アルコール依存症は、習慣的に多量飲酒をする人であれば誰でもなる可能性があります。

アルコール依存症の症状と
進行プロセス

アルコール依存症は、習慣的に飲酒することで、自分では気づかないうちに進行していく病気です。最初は、飲酒量の増加(耐性の形成)や、飲酒時の記憶がなくなる(ブラックアウト)など飲酒する方の多くに当てはまる症状がみられます。このことから、飲酒する方のほとんどは、依存症との境界線にいると言えます。
そして、さらに病気が進行すると、飲酒をコントロールできないような精神的な問題(精神依存)や、飲まないと手が震えたり汗をかいたりしてしまう離脱症状(身体依存)が見られるようになります。
また、アルコール依存症になると、事故死・自殺や、家庭や職場のトラブル、犯罪などにつながるケースもあり、社会的な問題を起こすことも少なくありません。

  • 晩酌
  • 飲み歩き

習慣飲酒

依存症との
境界線

ステップ1酒量増加と耐性の形成

習慣的な飲酒を続けていると、以前と同じ飲酒量では酔わなくなります。これは、アルコールに対する耐性が形成されるためです。また、人によっては不眠やストレスを解消しようと飲酒量がますます増えていくことがあります。

泥酔する

ステップ2ブラックアウト

飲酒時の記憶を失うことを「ブラックアウト」と言います。飲酒量が少なく泥酔していなくても、後日、飲酒時の記憶がない場合があります。ブラックアウトは、アルコール依存症の有無にかかわらず飲酒することによって起こりえる脳の軽い記憶障害ですが、頻繁に起こる場合はアルコール依存症の初期症状と考えられるため注意が必要です。

依存症
初期

ステップ3精神依存

習慣的な飲酒が続くと、「ほろ酔いで満足できない」、「ついつい飲みすぎてしまう」、「お酒なしではいられない」など、飲酒のコントロールができなくなる状態になります。この状態が精神依存であり、重篤化すると飲酒にばかり気を取られ、他のことに関心がいかなくなります。

アルコール依存症の治療にいたるケースを見てみよう

肝機能、
血圧値の異常

休日は
昼から飲酒

依存症
中期

ステップ4身体依存

常に飲酒していると、脳は飲酒時が通常の状態と判断して機能するようになるため、飲酒をやめると、発汗や震え、不安・イライラなどの離脱症状が出てくるようになります。この状態が身体依存であり、アルコール依存症になると、不快な離脱症状をおさえるためにお酒を飲まずにはいられなくなるという悪循環に陥っていきます。

昼夜を問わず
飲む

  • 飲酒による問題が目立つようになります
  • 飲酒のために嘘をついたりします
  • 飲酒が生活の中心となります
  • 迎え酒も見られるようになります

肝硬変

認知症

依存症
後期

  • 飲酒により仕事や生活が困難になります
  • 家庭や社会的信頼を失います
  • 食事をとらずに飲酒をつづけるようになります
  • 飲酒により死の危険を指摘されるようになります

アルコール依存症に関連する健康問題や社会的問題、家庭問題は、病気の進行に伴って深刻さが増していきます(下図)1)
アルコール依存症は一人で治療していくことが難しいため、気になる症状があらわれたら、その症状を軽視せずに、医師に相談することが大切です。

アルコールによる問題の変化

Burge, S. K. et al. : Am. Fam. Physician, 59(2), 361-370, 1999より作成
文献
  1. 1)Burge, S. K. et al. : Am. Fam. Physician, 59(2), 361-370, 1999

アルコール依存症は適切な治療介入により回復が可能な病気です。
そのため、早期に診断し、できるだけ早く治療を開始することが重要です。