監修:筑波大学 健幸ライフスタイル開発研究センター長 筑波大学医学医療系 地域総合診療医学 准教授 吉本尚先生

断酒治療について

アルコール依存症治療の原則は、お酒を一切飲まない「断酒」をすることです1)

断酒治療は、アルコールによる離脱症状や併存疾患の治療を行う「解毒期」、社会生活に戻るための訓練をする「リハビリテーション期」、現状を維持して再発を防ぐ「アフターケア」の3つのステージがあります。

「アルコール依存症の症状と進行ステージ」についてはこちら

アルコール依存症の断酒治療の治療ステージ

解毒期 身体・精神症状の治療:離脱症状の治療、併存疾患の治療。リハビリテーション期 社会生活に戻るための訓練:精神療法、集団活動。アフターケア 状態維持、再発防止:医療機関への通院、自助グループへの参加
  • 監修/樋口進.アルコール依存症から抜け出す本. 講談社;2011. P68-73(より作成)

断酒治療の3ステージのすべてで集団精神療法、個人精神療法、認知行動療法、動機付け面接法などの心理社会的治療が行われます1-3)。心理社会的治療は、アルコール依存症の治療の根幹であり、飲酒に対する意識や行動を改善させ断酒を継続するために重要です。

専門医療施設における心理社会的治療

集団精神療法

医療スタッフと数名の患者さんで集まり、飲酒を中心とした様々なテーマを話し合います。

個人精神療法

医療スタッフと2人でカウンセリングを行います。集団精神療法では話題にできない個人的な問題を深く掘り下げることができます。

認知行動療法

これまでの飲酒に対する考え方や捉え方を変えることで、行動や感情、生活の改善を図ります。

動機付け面接法

治療への動機付けを高めるために「飲酒をやめたい」という気持ちを強化し、行動の変化を促します。

その他

作業療法、家族療法、運動療法など

  • アルコール依存症に対する総合的な医療の提供に関する研究(H28年度厚生労働科学研究費補助金)に基づくアルコール依存症の診断・治療ガイドライン,P261-262
    監修/樋口進: アルコール依存症から抜け出す本.講談社; 2011. P78-83 (より作成)

また、断酒継続や社会復帰のためには、患者さん同士の支えが必要であり、自助グループへの参加が欠かせません。

自助グループとは、共通の問題や悩みを抱えた人が集まり、自主的に運営しているグループです1,4)。お酒にとらわれていた生活を過去のものにし、新しいライフスタイルを確立することを支援しており、治療の継続、状態維持の助けになります。

自助グループ

自助グループ[断酒会・アルコホーリクス・アノニマス(AA)など]の概要

共通の問題を抱える者同士が支え合い、問題解決を図る1)自助グループがもたらす効果2)

  • 治療経過を話したり、悩みを共有することで精神的な支えとなる
  • 継続的な治療につながる
  • 参加者同士に連帯感が芽生え挫折しにくくなる
  • 飲酒に対する考え方に一貫性が出て、状態が落ち着き油断したときに考えを正すことができる
  • アルコール依存症に対する総合的な医療の提供に関する研究(H28年度厚生労働科学研究費補助金)に基づくアルコール依存症の診断・治療ガイドライン,P261-262
    監修/樋口進: アルコール依存症から抜け出す本.講談社; 2011. P78-83 (より作成)

文献

  • 1)アルコール依存症に対する総合的な医療の提供に関する研究(H28年度厚生労働科学研究費補助金)に基づくアルコール依存症の診断・治療ガイドライン
  • 2)監修/樋口進: アルコール依存症から抜け出す本.講談社; 2011. P78-83
  • 3)成瀬暢也:精神療法.2016; 42(1). 95-106.
  • 4)監修/樋口進: アルコール依存症から抜け出す本.講談社; 2011. P86-87.

アルコール依存症の治療

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